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土三寒六常五杯とは

手打ちうどんを作る際の四季の温度変化に対する「塩加減」を表現した古くからの口伝で、「どさんかんろくじょうごはい」と読む。
「土」は夏の土用、「寒」は寒中、「常」は春・秋のこと。
つまり、土用の頃の暑中には塩一杯を水三杯に溶かした濃い塩水で小麦粉を練り、寒中は逆に六杯の水で溶かした薄めの塩水を使い、春と秋は塩一杯を水五杯で溶いた塩水で丁度良い、という教えである。

小麦粉を水で捏ねて作る生地は、温度変化に対して非常に敏感である。
暑いと生地はダレた状態になりやすく、反対に寒いと生地が硬くなりすぎてしまう。
そこで、夏は食塩の量を多くして生地を締め、冬は食塩の量を減らして生地が硬くなりすぎないように調整するわけだが、塩分濃度をコントロールしているだけでなく、塩を溶く水の量を変えることで、小麦粉への加水量自体も調整していることになる。

うどん作りは一見、簡単なように見えるが、温度や加水量、熟成時間といった変動要因が多く、しかも塩がそれらの要素に対して、微妙なコントロール機能を果たすなど、色々と複雑な要素が絡み合っている。
したがって、手打ちという技術の背後にあって、常に関連しあいながら変動するこれらの要素を体系的に把握していなければ、一定の品質のうどんを作ることはできない。
よく、そばは作る技術は難しいが理論は比較的簡単なのに対し、うどんは技術的にはそれほど難しくない反面、製麺理論が難しいと言われるゆえんである。

うどんは室町時代から既に現在とほぼ同じ作り方がされていることが分かっているが、「土三寒六常五杯」とは、長いうどん作りの歴史の中で先人が経験上会得した、一つの指標だったと言えよう。
なお、この「土三寒六」の比率をボーメ計で測定すると、「土三」では24ボーメ、「寒六」では15ボーメ、「常五杯」では17ボーメとなって、現在使用されている塩水に比べてかなり濃度が濃いことになる。
昔と現在との小麦粉や塩の品質の違いや、技術・嗜好の違いなどが考えられるが、はっきりとした理由は分かっていない。

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